【日本酒をより身近にカジュアルに】
様々な分野の第一線で活躍する女性たちと、「MIZUBASHO Artist Series」を通じて、毎日の生活の中に日本酒がある暮らしを提案していきます。
第3弾はサイエンススイーツの第一人者としてTVでも引っ張りだこの太田さちかさんへのインタビュー。
永井酒造の日本酒造りとスイーツに共通する「Art & Science」についてお話頂きました。
~MIZUBASHO Artist Series Interview~
芸術教育士
ケーキデザイナー
太田さちかさん
(インタビュアー)
永井酒造株式会社
ディレクター永井松美
まるで宝石のようなお菓子や溶けないアイスなど、ちょっと不思議なお菓子をSNSやテレビで見かけたことはありませんか?
今回は実験しながらスイーツづくりが楽しめるそんな「サイエンススイーツ」の第一人者、太田さちかさんと対談しました。
サイエンススイーツは単に子どもと楽しむお菓子づくりではありません。できあがったお菓子はアート作品であり、サイエンスとアートの融合を目指す水芭蕉のコンセプトとも重なるものでした。「MIZUBASHO Artist Series」を使った、さちかさん考案のデザートレシピも合わせてご紹介いたします。
【サイエンススイーツとお酒造り】
——さちかさんはサイエンススイーツの第一人者として活躍されていますが、具体的にどのようなお仕事をされているのでしょうか?
大きく2つ仕事をしています。ひとつはケーキデザイナーとしてレシピを開発したり、ご依頼を受けてお菓子やケーキをお作りさせていただいています。もうひとつは芸術教育士で、子供に向けて芸術をテーマにワークショップを開催させていただいています。
——なぜサイエンススイーツを始めたのですか?
芸術教育として子どもたちとお菓子作りをやっているのですけど、子どもたちがとにかく「なんでなんで」って聞いてくるんです。子どもの「なんで?」にひとつひとつ丁寧に答えていくと、サイエンスというアプローチが一番わかりやすく答えてあげられました。
レシピの向こう側にある不思議な世界・面白い世界をわかりやすく伝えるために、サイエンススイーツが生まれました。
——サイエンススイーツという一つの分野を作ったというよりは、やっている過程の中で生まれてきたという形でしょうか?
そうですね。もしかするとサイエンスも大きく捉えると芸術の中に含まれるのかもしれません。サイエンスとアートってとても近い感覚ですよね。
——永井酒造のクラフトマンシップの中で一番大事にしているのは、サイエンスとアートの融合です。お酒造りの感性の中にはきちんとしたデータがあり、人にしかできないことと、機械ができることの住み分けをしているんです。さちかさんのレシピを拝見すると、お酒造りと共通点を感じました。
わたしもそういう思いでやっています。
——日本酒との出会いはいつごろですか?
実は今回、水芭蕉のお話をいただいた時に初めてちゃんと日本酒と向き合ったという感じです。学生の時に、飲んだことはあるのですけど、日本酒としてきちんと味わったのは、今回の水芭蕉が初めてです。
——そこも共通点がありまして、私はもともとワインのお仕事をしていて、実は日本酒が苦手だったんですね。「MIZUBASHO PURE」という瓶内二次発酵のスパークリング清酒を初めて飲んで、日本酒ってこんな味なんだと驚きがあって。私にとっても日本酒デビューが水芭蕉だったんです。
【サイエンススイーツ×「MIZUBASHO Artist Series」】
——実際に「MIZUBASHO Artist Series」をお飲みになってみて、さちかさんはどのような場面で飲んでみたいと思いましたか?
「MIZUBASHO Artist Series」は、ファッションやジュエリーのようなおしゃれにすごく近い感覚だと思いました。自分で好きなテイストを選んで、その時の気分で身に着けるような、ちょっとお洒落する感覚で、女性が一番嬉しいタイミングで飲みたいかなと思います。
——そういう発想はありませんでした。とても面白いですね。
さちかさんには水芭蕉アーティストシリーズの新作発表会に先駆けてテイスティングをしていただいていますが、テイスティングした時のイメージはどのようなものでしたか?
テイスティングしたときのイメージは、みずみずしくて軽やかなものでした。あと口当たりがとってもよくて。日本酒には重くてカーッとくる辛い感覚が印象に強くあったんですけど、これはすごく軽やかでしたね。
——先日行われた記者発表のデモンストレーションでは、「MIZUBASHO Artist Series」を使ったお菓子を作っていただきましたが、どのようなインスピレーションをお酒から得て、お菓子が生まれたのでしょうか?
自然界の中で水芭蕉という美しい花が咲くためには、そこにある自然や水資源が大事なんですよね。
その大事なお水を職人の方が丁寧に使って作り上げているというストーリーをお聞きしました。あとは日本酒自体の透明感と軽やかさになるべく手を加えず、このまま楽しめるように、最小限のゼラチンでどうやって固めようかとか、最小限の砂糖でお菓子の甘みを出していこうかとか、そんな風に考えて作っていました。
——スパークリング酒の中にマスカットを入れたのは、どのような発想から生まれたものでしょうか?
「MIZUBASHO Artist Series」の持つ気泡性をそのまま活かしたいと思いました。フルーツとの相性も考えて、皮の中に炭酸を封じ込めることができる「密度」を利用したレシピが自分の中に浮かんできました。皮の中にスパークリングのパワーをそのまま丸ごと封じ込めて味わっていただきます。
——驚きがその一粒の中にぎっしりはいっていて、素晴らしいデザートで、会場の皆さんも大変喜ばれていました。
とても嬉しいですね。
——家庭で簡単に誰でもできるようなスイーツがあればぜひ教えてください。
デモンストレーションでもお見せしたのですけど、シャーベットにかけて一緒に食べていただくと、よりデザート感がアップします。
お酒なんだけれどもシャリシャリとした咀嚼感がプラスされて、日本酒のキリっとした感じと合って。水芭蕉のまた違う表情を楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
ぜひトライしてみたいと思います!
~SAKE×Craftmanship Story~
【お酒造りはアート&サイエンス〜蔵人 永井社長】
永井酒造株式会社
代表取締役社長 永井則吉
——サイエンススイーツの印象はいかがでしたか?
サイエンススイーツという言葉自体に、ときめきというかワクワクがありますね。
自分の酒造りは「アート&サイエンス」だと思っていますので、まずそこに共通するものを感じました。お酒とスイーツとサイエンスの融合を考えると、面白いしワクワクするというのが第一印象ですね。
——お酒造りにおいてのサイエンスとは?
数値的なデータの積み重ねがサイエンスだと思っているんです。
ずっと昔から酒造りは、手書きでデータを取ってきました。必ず現象の裏には数字に出てくるものがあり、そしてかなりシビアに結果につながる世界です。
今はかなり機械化され、温度は24時間自動的に計測されるようになりました。そこに人間の感覚と融合させたものが現代の酒造りになります。
この「人間の感覚」の部分を僕はアートと置き換えています。
つまり人間の五感ですよね。
見た目、香り、手触り、音……。発酵中は、本当に瞬時瞬時で変わっていくので、そこを見極めるのが人間の力。
昔からよく「酒造りは勘だ、体で覚えろ」と師匠から言われるのですが、でも一流の職人は長年の経験から裏づけされたデータがあるんですね。それはつまりサイエンス。数値の延長上に感覚的な勘が重なり、最後は人間が見極めジャッジします。
「数値的なサイエンスのエビデンス」と「今までの経験値からくる五感」。
ここを融合させ、バランスを測るのがとても大事なことだと思います。
ライフスタイルはどんどん進化し、変わってきています。
本質は変わらず水芭蕉らしい「自然味のあふれる優しい綺麗なお酒」というのを一番中心に据えながら、次世代のライフスタイルに寄り添う「気楽に・おしゃれに・楽しく飲む」お酒を、これからも目指していきます。
太田さちか プロフィール
パリ サンジェルマン・デ・プレで過ごし、慶應義塾大学、
エコール・ド・リッツ・エスコフィエ、京都造形芸術大学大学院など日本とフランスで製菓、芸術を学ぶ。
MFA(芸術系修士号)を取得し芸術教育士として、キッズクリエイティビティを軸にしたアプローチを実現。2009年にこどもとママンのための「My little days」設立。10年以上に渡り、子どもを対象にしたワークショップを展開。
『sachi & cakes』ケーキデザイナー、コラムニストとしても幅広く活動。子供たちの興味や不思議、好き!といった感性に寄り添いながら、独自の世界観あふれる
ワークショップ、レシピが好評を呼び、企業サイトや
ウエディングシーン、多数メディアで活躍。
著書「メレンゲのお菓子 パブロバ」
「不思議なお菓子レシピ サイエンススイーツ」
永井松美 プロフィール
永井酒造株式会社 マダム&ディレクター
米国インディアナ州政府商務部、シアトル・ワシントン州観光事務所に勤務後
13年間米国に住み、シアトルのパイクプレース・マーケットやベルタウンにてFood & Wineツアーを企画運営するシアトル・フード・ツアーズを設立。
世界最大のワイン教育機関、国際資格WSETアドバンスクラスを学び
ナパやニューヨークを中心にアメリカのワイナリーVIP視察ツアー、企業視察を企画、運営。
唎酒師、国際唎酒師を取得し、現在、永井酒造のマダムとして、海外統括、PR &マーケティングにも従事している。
日本酒をミシュラン・レストランにトップセールスで紹介し日本の酒文化を世界へ発信中。
永井則吉 プロフィール
永井酒造株式会社 代表取締役社長
昭和47年、川場村生まれ。東海大学工学部卒。平成7年に永井酒造入社。平成25年に社長就任。
伝統的な日本酒製法に瓶内二次発酵を取り入れた発泡性清酒の先駆け
「MIZUBASHO PURE」を開発し、28年に「awa酒協会」を設立し、理事長に就任。
料理のコースに合わせて日本酒(スパークリング、純米大吟醸、ヴィンテージ酒、デザート酒)のペアリングを提案するNagai Style, そして地元川場村の世界に誇る幻の米「雪ほたか」を使用した酒造りなど、米の可能性を最大限に引き出した日本酒の奥深さと新たな魅力を世界に発信し続けている。